イケてる.com

24歳サラリーマンが、挑戦を続ける人たちの『イケてる』人生を掘り下げ、伝える、インタビューブログです。

-ALIEN代表取締役・佐野翔一-


-ネットワークエンジニア・佐野翔一-

「株式会社ALIEN」を経営するネットワークエンジニアです。僕はここまで落ち着きのない人生を歩んできました。不登校になったり、農家で働いたり、ホストになったり。と思えば教員になったり...。世間一般の「普通」とかけ離れた経歴ですが、いまは、好きなことに力を注ぐ人生を送っています。


佐野 翔一(さのしょういち)/1989年生まれ。「世の中にエンジニアを増やす」ことをミッションとしたキャリア支援系企業、『株式会社ALIEN代表取締役兼、ネットワークエンジニア。社会科教員⇨IT業界と、異色の経歴を持つ。主な活動は、教員向けキャリア支援サービス〝edca〟(エドカ)の開発や、エンジニア向けイベント「サポーダーズColab」運営など』/全3回連載



-マッドサイエンティスト-

静岡県に生まれたぼくは両親の影響で80年代の洋画が大好きでした。コンピューターが認知されはじめた時代で、SF映画ブーム。「ロボコップ」に「ショートサーキット」、「ターミネーター」。〝雷が落ちてロボットに感情が入っちゃう〟とか。めちゃくちゃな設定ですけど目を輝かせていました。


将来の夢は科学者。「マッドサイエンティスト」になりたかった。だだっぴろい駐車場に見張り小屋があって、その下に隠し階段があって、地下に秘密基地を作って、危ない研究をして、革命的な発明を...。そんなことを本気で考えてましたね。幼稚園のころで、共感してくれる人はほとんどいませんでした(笑)

興味を持つと周りが見えなくなるくらいどハマりする性格でした。映画も同じ作品を数えきれないくらい見ましたね。小学4年生で、その対象はゲームになりました。「モンスターを育てるのが楽しい」という感覚でポケモンにハマり、時にはスーパーファミコンにハマり...。当時の流行は64やゲームキューブですから「スーファミ」はレトロゲーム。これも、共感してくれる人は少なかった。(笑)



-教員-

中学で好きだった女の子が「先生になりたい」と言っていて、「こいつが先生になるなら俺も!」と。本当に落ち着きが無い。ただ、先生になりたい理由はもう1つありました。学校教育に疑問を感じていたんです。授業中に「話を聞きなさい!」と怒る先生がいるじゃないですか? でもそれは「授業より面白いことがある」から。漫画を読んでるなら、漫画>授業。変わるべきなのは先生なんです。


もう1つは「先生はその教科が好き」だけど、生徒はそうとは限らない。にも関わらず自分のやり方で教えて思い通りにならないと怒る。どう考えてもおかしいんです。こんな〝異常事態〟が平然と続いているのが学校です。ずっと疑問に思っていて、「先生になって、面白い授業をやってやろう」と考えました。でも....。


進学校を受験するも不合格。「この学校じゃなきゃ行かない!」と周りに豪語していたのに合格できず、恥をかきました。今思えば大した事じゃないし他の学校でも教師への道はあった。でも、落ち込んで、病んで、引きこもりになりました。中学校の卒業式も欠席。引きこもったまま、「高校浪人生活」に突入します。



-卒業しなくてもいい-

その後、群馬県の「嬬恋村」にあるキャベツ農家で働く事になります。地元に居ることが恥ずかしくて誰とも会いたくなかった。知り合いに頼み、農家に飛び込みました。朝4時に起きて15時に仕事を終え、そこから勉強する。そんな生活です。


半年間、農家で働いたある日、中学時代の友達に連絡を取りました。「俺が高校落ちたの、知ってる?」って聞いたら、「みんな知ってるよ! 当たり前でしょ!」と。いつまでも逃げていられないと感じて静岡に帰ることにしました。働こう、と。


高校卒業の資格は欲しかったので「静岡中央高校」に入学します。これが正解だった。定時制の学校で、〝訳あり〟の人間が多かったんです。不登校、高校中退者、不幸があって学校に行けなくなった人。自分も〝世間に適合していない〟少数派だったから居心地が良かった。「これでも良いんだ」って思えたんですね。


IT業界に進むきっかけも高校時代にあります。生徒会の会長が「パソコンオタク」で、〝こんなの常識だから使えるようになった方が良いよ〟と言われて、触るようになりました。あの出会いがなければ今は無いかもしれません。


稼ぐ喜びも覚えました。回転寿司と薬局でバイトを掛け持ちしていたのですが、毎月、キャッシュが回るのが楽しかった。パソコンを買ったり、ボーイスカウトとしてキャンプやボランティア活動を経験。本当に充実していましたね。 ただ、バイト中心で単位が取れなかった。2年生時点で卒業が怪しくなってきて、担任の先生に相談するとまさかの返答が。


『卒業しなくて良いんじゃない? 大学に行きたいんだろ?じゃあ、大学に行けば良い。高校をやめて高卒認定とって、大学の社会人コースを受ければ良い。お前は高校を卒業したいのではなく、大学に行きたいんだろ?』


高校中退は世間的に悪かもしれないけど、それが全てじゃないと教えてくれた。社会人枠。それでいいじゃん、と。静岡大学の社会人コースを受験して合格。高校を卒業せずに大学生になることができました。




-ホスト⇨教員-

念願の大学で真面目に勉強!となれば良い話なのですが、とんでもない寄り道をします。街中で「ホスト、興味ないすか?」と聞かれて何も考えずに「興味あります!」と答えてホストになりました。キャッチの人にはノルマがあって手当たり次第にをかけていたんだろうけど、「まさかこいつが」って顔してました(笑)。

少しでも興味を持つと勢いで行動しちゃうので、本当にホストとして働き始めます。話が得意なわけじゃないけど、お酒は強かったのでそこそこ稼ぎましたや。先輩のお客さんの要望でボトルを開けて、それでも潰れないからまた開ける、無限ループ。お客さんは面白がってくれて。「お酒飲んで金もらえるって最高じゃん!」と本気で思っていましたよ。


変な寄り道ばかりだったけど、教員になる夢は失いませんでした。教育実習に2度参加して、24歳で中学校の講師に。「おもしろい授業をする」と意気込んで、教育の現場に入ります。


ー第②回につづくー

取材・編集:巻木 周平(マキギ)