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24歳サラリーマンが、挑戦を続ける人たちの『イケてる』人生を掘り下げ、伝える、インタビューブログです。

生地を極める。『三川 直樹』②


-このままじゃダメだ!-

就職活動に本腰を入れたのは大学2年の夏でした。第一志望の大学じゃなかったからあまり馴染めず、バイト中心の生活を送っていた時、高校からの友人に誘われて就活系のイベントにゲストとして参加したんです。そこでいろいろな企業の方と接したことで、「このままではダメだ!」と痛感しました。もともとコミュニケーションが得意ではなかったから、「自分を変えないと」と思ったんです。


三川直樹(みかわなおき)/1993年生まれ。『株式会社ポーン』所属。少年時代から好きだったファッション業界へ進む。生地生産から納品までを担当する「テキスタイルコンバーター」/※全2回連載

ー第①回はこちら!ー



-俺には服しかない-

さらに、イベントで知り合った社長さんが開いていたキャリア支援にも参加しました。ディスカッションや面接対策、企業分析などを経験。おかげで周りの学生よりも早い時期から将来について真剣に考えることができました。また、大学入試に失敗していただけに、就活は失敗したくない、という思いもありましたね。


学生のうちに海外留学がしたかったけど、お金が無かった。ただ、インターンなら無料で滞在できると聞いてフィリピンの日系ベンチャー企業へ。約1ヶ月半、コールセンターで化粧水を販売しました。海外生活の経験を積めたのは大きかったですね。

インターンでは繊維商社にも行きました。思えばこれが、テキスタイルコンバーターになる1番のきっかけです。印象的だったのは社員がギラギラしていたこと。ものすごく忙しそうなんだけど、目を輝かせて、「あのコレクションブランドの生地、俺が作った!」と話していて。僕も本来、洋服が好きだったこともあり、「自分にはこれしかない」と思いましたね。それも販売員としてではなく、生地を作る立場として洋服に携わりたい、と。


子供の頃から洋服が大好きでした。買い物が1番の楽しみだったくらいです。友達と服装が被ったら「二度と着ない!」とか、親に買ってもらったにも関わらずそう言ってしまうくらいこだわりが強くて。あと、「それかっこいいね!」とか、「どこで買ったの!?」とか言われるとすごく嬉しかった。家族が洋服を好きなわけではないし、誰かに影響されたわけでもないんですけどね。



-言ってみるもの-

昔から大好きだった洋服の作り手になれる。心を躍らせて、就職活動を開始しました。海外にも目を向けてたのですが、ちょうどその頃、バングラディシュの縫製工場崩落の事故があったりして。同じ生地を作るのなら国内で作りたいという想いから、国内で生地を開発している企業に入ることを決めました。


結果、「キング」という婦人アパレル系企業に内定をもらいました。までは良かったのですが...。百貨店の営業職としての採用だったんです。生地生産に携わりたかったのに、このままだと叶わない。そこで、キングのグループ会社である『ポーン』に行けないだろうか、と。ポーンは『テキスタイルコンバーター』別注プリント服地卸の会社です。

ただ、新卒採用の募集がなかったし、当時すでに卒業3ヶ月前の12月。内定式もとっくに終わっている。だからダメ元で役員に「ポーンに行きたい!」と問い合わせてみて、ダメだったらニューヨークのFITへファッションの勉強に行こうと思っていました。


が。意外にも要望を聞いてくれたんです。驚きながらもすぐに夜行バスに飛び乗って東京へ行き、想いを伝え、ポーンへの配属を勝ち取りました。「やりたいこと」を自分のなかで明確に持ち、行動して本当に良かった。あの時、黙っていたら、今の人生を歩めていなかった。



-ターニングポイント-

沢山あるなかであえて1つ挙げるとすれば高校時代です。小学生の頃からずっと野球をやってきましたが高校ではレギュラーになれず、ベンチ入りもできなかった。あの時が人生のどん底でした。誰からも必要とされないし、居場所も無かった。ある意味、人生のポイントだったかもしれません。


あと、僕は人生の選択において家族に反対されたことが一度もありません。自分で決断したことに対していつも、2、3歩引いたところからそっと見てくれていました。小学生の時、「野球がやりたい!」と言った時もすぐにはじめさせてくれたし、繊維業界に入った今でも、陰ながら応援してくれています。そんな環境で育ててくれたことは、本当に感謝しています。




-メッセージ-

僕の周りでは、「安定、給料、福利厚生」などを求めて企業を選んだ人が多いです。今年で入社3年目。入社前のイメージと現状のギャップに苦しみそろそろ転職する人もいます。それぞれの判断軸があるけど、「現状に満足できていないのであれば、やりたいこと、好きなことを仕事にしてみて下さい」と言いたいです。


「そんな仕事は無い」と思っている人は時間をかけてでも探してほしい。難しいことじゃないと思う。自分は何が好きかな?と考えた時に、人と話すだとか、音楽だとか、食べることだとか、何かしらあると思うんです。「趣味として好きでいるか、好きなことを仕事にして極めるか」。僕の場合は好きな〝生地〟を仕事として極めることに決めたから、かけがえのない同世代の仲間にも出会え、仕事が面白くて楽しくて仕方ありません。

(終わり)

取材・編集:巻木 周平(マキギ)


ー第①回はこちらー