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日本教育は異常だらけ?『佐野翔一』②


-地球儀30個-

「学生時代に面白かった授業はなんだろう」と考えて授業を組み立てました。真っ先に思い出したのは高校の「倫理」。なんでも下ネタに例えて話すふざけた先生だったけど、興味の無い倫理の話を笑いながらも聞いていて、今でも覚えてるんです。「おもしろい」=「話を聞いている」。これだな、と思いました。

佐野翔一(さのしょういち)/1989年生まれ。「世の中にエンジニアを増やす」ことをミッションとしたキャリア支援系企業、『株式会社ALIEN代表取締役兼、ネットワークエンジニア。社会科教員⇨IT業界と異色の経歴を持つ。教員向けキャリア支援サービス〝edca〟(エドカ)の開発や、エンジニア向けイベント「サポーダーズ」運営など。

ー第①回はこちらー




地球儀を人数分買い、社会の授業で配りました。小さなサイズですが全部、自腹で。1つを30人くらいで見るのが一般的だけど、それだと頭に入ってこないし興味を持ってくれませんから。スマホを買ったこともありますよ。韓国の授業で「サムスン」が出てきたのでサムスン製のスマホを。さすがに人数分とはいきませんが、数台買って、こう言うんです。


Samsungって書いてあるでしょ? これが教科書に出てきた会社。韓国は悪い側面が報道されているけど、電子パーツを作ることに関してはすごい国。韓国発のグローバル企業もたくさんあって、決して悪い国ではないんだよ」


話を聞いてくれる仕組みを考えて授業に落とし込む。これが、教師のやるべきことです。




-日本教育の課題-

教員のなかには、「授業が上手くいかない責任は子供にある」と考えている人がとても多かった。「あいつは話を聞かない子だ」と。なぜ、聞いてくれるのが前提なのか?と思うわけです。そうなってしまう原因の一つが、教員を評価する人がいないことだと思っています。強いて言うなら校長先生だけど、主な仕事は地域のイベントに出ることで、授業は見ていない。


つまり、ほとんど学校にいない人間が評価をするんです。雑誌、新聞なら販売部数だし、テレビは視聴率。消費者の数字で評価されるのが世の中です。学校では子供が消費者にあたりますが子供が教師を評価する機会はありません。「授業アンケート」はあるけど半年に1回くらい。それじゃあ意味がない。授業の相談は本来子供にすべきです。学校は消費者主体じゃない。組織として成り立っていません。

教員の労働環境も悪すぎます。頑張れば頑張るほど仕事の負担が増える。「〇〇先生は働き者だね!じゃあ、これもやってよ!」みたいな風潮があって雑務がどんどん降ってくる。なのに給料は変わらない。残業代は出ない。副業もできない。これはダメだと。こんなことで教員の質が上がるわけない。


もっといえば、そもそも、子供が住んでいる場所だけで学校を決められることもおかしい。理由がないと転校もできない。異常だらけ。学ぶ場所を自分で決められないんです。この業界を変えるには違うアプローチが必要だと考え、26歳の3月に辞めました。離任式には出ていません。離任式に出たいわけじゃなくて授業がしたかっただけだから。



-起業しよう-

その後は携帯ショップ、パチンコ屋の清掃業、家庭教師などを経験し、半年経った秋に東京に出ることを決めます。大学時代の友人が東京のIT企業で営業をしていて、彼とは昔、将来を語り合う仲でした。「20代のうちに都会に出たいよな」とか「外回りの営業がしたいな」と話したことがあったん。すでに、彼はその生活を実現していたんです。「ミライエ」という会社だと聞き、すぐに履歴書を送りました。


彼に「履歴書送っといたから人事によろしく言っといて!」と。めちゃくちゃですけどそこはさすがITベンチャー。1週間後に人事から連絡がきて、スカイプで面談し、前職を辞めてから1ヶ月後には入社が決まりました。(笑)。やりたい!いきたい!と思ったらとりあえず行動する。なんとかなるもんです。

IT人材を企業のプロジェクトに合わせてアサインする営業です。日立ソリューソンズ、富士通、DMMといった大手企業も担当させていただきました。個人的にDMMか好きだったので後輩を粘り強く売り込んだらプロジェクトに参加させてくれました。


その後輩はなんと今、DMMでデータサイエンティストとして働いています。実績を重ねていくうちに、「人を育てる」ことに魅力を感じ、社長に相談したんです。「エンジニアとして現場に入って、社員を育てたい」と。でも、許可は得られなかった。本当にやりたいことができない状況になったら、行動は1つしかありません。


「よし、辞めよう」


起業を決断した瞬間です。


ー第3回につづくー

取材・編集:巻木 周平(マキギ)